一曲目から、いきなり有名どころの選曲だな。
最初の曲にいいかなと思って、みんなで選んだんだよね!
ところで今更だけど、「カノン」って何…?
「カノン」というのは、複数の声部が同じ旋律を異なる時点から開始して演奏する形式のことです。
例えば、私たちのよく知っている「かえるの歌」も、同じカノンの音楽ですね。
ルネサンス期に多くの合唱曲で用いられていたんですよ。
のんのんはチェロで通奏低音担当で
最初の2小節の音をずっと繰り返しているだけだから
ちょっと退屈だったかな…
そんなことないよ。低音でみんなを支えるのは楽しいし。
それはよかった。
のんのんさんはチェロに向いているのかもしれませんね。
今回の弦楽四重奏版では、のんのんが最初に通奏低音を演奏した後に
まずファーストバイオリンが旋律を始めて、次にビオラのじらさん、
最後にセカンドバイオリンのチー太が演奏するという形にしてみた。
普通はバイオリン3本でやるんだけど
じらさんがどうしてもビオラでやりたいって言うから…
ほほ。そこはビオラ弾きとして譲れないところですよ。
ビオラにしか出せない音色というものがありますからね。
ただ、バイオリンの高い音域を出さなければいけないので
けっこう苦労はしました。
実はちょっとズルをして、普通より低く演奏した箇所もあります。
(バイオリンでやればいいのに…)
いやーしかし、同じメロディーをずらして重ねてるだけとは思えないくらい
いろんな表情がある曲だよな。
まったくです。
シンプルだけど、弾き方でいろんな雰囲気にできる曲だよね。
今回の演奏は最終的に音楽が作られたバロック時代の
オリジナルに近い雰囲気になりましたね。
この曲はビブラートを効かせてじっくり聴かせる演奏が有名ですが
今回はテンポも早めで、音色もやわらかい。
調弦もバロック時代に合わせて少し低くして、
弓の持ち方もやわらかい音を出すために、当時の少し短く持つ持ち方にしたよね。
結果、やわらかい響きが出せたと思う。
調弦は、よりダイナミックに、よりソリスティックにという時代の要請に合わせて
徐々に高くなってきましたが、
やはり当時の調弦に合わせた方がその時代の雰囲気が出ますね。
俺はもっとがっつり聴かせる感じでやりたかったのによ。かやのヤツが…
私は断然、あっさり派だよ。
曲が生まれた時代の空気感が感じられて
私もこの弾き方、好きですよ。
けっ!違うんだよ、もっとこう、こぶしをきかせてよぅ。
そんなお涙頂戴の厚化粧的な演奏、この曲には似合わないよ。
なんだと!?おいのんのん、おまえはどうなんだ!
わたしはチェロを始めたばかりだし
みんなみたいにうまくビブラートとかかけられないから…
曲の流れに乗ることだけ意識して弾いてるんだ。
でも変に味付けしなくても、流れに乗って和音をちゃんと響かせれば
それだけでキレイなんだなぁって思う。
うんうん、いいこと言う!その通り!
チー太さんも
結局最後はかやさんの弾き方に合わせていたじゃありませんか。
まぁ、それは仕方なく…。
でも、この曲は構成上、最後に出るセカンドバイオリンが
ソロっぽくなるとこがいくつかあるから
そこだけは自由に弾かせてもらったけどな。ふふん。
わたしあれ嫌い…
あぁ!?
まぁまぁおふたりとも。
いつかチー太さんの好きなバージョンでもやってみようじゃありませんか。
おい、その時は俺がファーストバイオリンをやるからな!
きみ、なんでもファーストが偉いと思ってない?
曲はカルテットみんなで作るものだよ。
んなこと知ってるよ!!
(わたしもそれまでに、もっとうまくならなきゃ…。)