チー太

一曲目とは一転、マイナーな曲だな。誰も知らないんじゃないか？

 

 じら

知られていない曲にも良い曲はたくさんあるんです。それを紹介するのも我々の使命ではないでしょうか！

 

 　一同

（…そうなの？）

 

 かや

これは北欧の民族音楽で、「Waltz After Lasse in Lyby」という曲だよ。

 

 のんのん

Lasseは人の名前？ラッセさん…でいのかな？

 

 かや

ラッセ（1815-1899）は、南スウェーデンのバイオリン奏者。彼がよく弾いていたから「ラッセのワルツ」なんだって。

 

 じら

彼は貧しいバイオリン弾きでした。なんでも、バイオリンの弦を張り替えるお金がなくて、少しでも長持ちさせるために弦を緩めて弾いていたらしいですよ。

 

 のんのん

へぇ…。

 

 かや

今回演奏するのは「デンマーク弦楽四重奏団」によるアレンジ版。彼らは自分たちの故郷である北欧の民族音楽に強い興味を持っていて、もともとバイオリンだけで演奏されることの多かった原曲を四重奏用に再アレンジしたんだ。それらをコンサートで演奏したりCDにしたりして、北欧民族音楽の価値の再発見に努めているらしいよ。

 

 じら

アレンジ前の原曲ですが、ラッセはもっと速いテンポで弾いていたらしいです。これがその速さ。

 

 

 チー太

へぇ。だいぶ速いんだな。

 

 かや

もともとは軽快なワルツ、踊りの曲だからね。それを遅くアレンジし直したことで、北欧の深い森の雰囲気とか、貧しいバイオリン弾きだったラッセの孤独感も感じられるようになってるよね。

 

 じら

ちなみに私は、この曲を聴きながら月夜の海を泳ぐのがとても好きです。

 

 チー太

…お前は相変わらずのロマンチストだな。

 

 のんのん

でも、じらさんの気持ちわかるなー。わたしもこの曲を聴いてると故郷の森を思いだすんだぁ…。

 

 チー太

…まぁ、確かに、俺、北欧で生まれたわけじゃないけど、この曲を聴くとなんだかノスタルジックな気分になるんだよな。

 

 じら

そうですね。こういう民族音楽には、誰の心にもある故郷の情景を呼び起こす力があるのかもしれません。

 

 のんのん

あぁ…なんだか森に帰りたくなってきた…もうすぐお正月だし、久しぶりに帰ろうかなぁ。